死体は透明に……猟奇事件の舞台「アフリカケンネル」の現在
豪腕の実業家。日本に初めて「シベリアンハスキー」を輸入した男の正体は、身の毛もよだつ凶悪殺人鬼!?
かつて「動物のお医者さん」という漫画の流行を皮切りに、爆発的な人気を博した犬種「シベリアンハスキー」。今でも町中で散歩してる姿をよく見かける。
日本で長きにわたり愛され続けている犬種なわけであるが、元々の原産地はシベリア。
そんな彼らを、初めて日本に連れてきて、国内での繁殖に成功させたといわれる男がいる。
関根元。
埼玉県でペットショップ「アフリカケンネル」を営んでいた実業家兼、敏腕のブリーダーだ。
彼は、経営者、ブリーダーとしての手腕も然ることながら、実に人当たりも良くユーモアに富んでおり、所謂「信頼の厚い人格者」として持て囃されていたのだとか。
しかしそれらは全て世仮の顔。
関根という男の正体は、己の私利私欲のためならば意図も容易く人命を手にかける凶悪殺人鬼だったのです。
上得意を、時には暴力団の重役を、、、
トラブルに発展した顧客を次々と殺害していった。
先述の通り“表面上は”人望の厚い人柄であった関根元。
故に、彼の持ち掛ける商談にまんまと乗せられてしまう顧客も多かった。それが悪質な詐欺であるとも知らずに。
彼が実際に行っていた詐欺行為の一例として、
- 「仔犬が産まれたら高額で買い取るから」と嘘の口約束を交わし、犬のつがいを法外な値段で売り付ける。
- 実際に仔犬が産まれ、買い取りの依頼に来た客に対し、理不尽な難癖を付けて買い取りを拒む、もしくは値切る。
などがあった。
泣き寝入りをした客も沢山いることだろう。
しかしもちろん、皆が皆そういう訳にはいかないわけで。。。
そして客は“透明に”された
「殺しのオリンピックがあれば俺は金メダル間違いなしだ」
「俺は殺しの世界で一番の男になりたい」
「死体を透明にする事が一番大事」
「死体がなければただの行方不明。証拠があるなら出してみろ」
これらは全て、関根が生前周囲の人間に話していた、いわば“殺人哲学”の一部である。
関根は、死体を完全に消し去ってしまえば、例え疑いをかけられる事があったとしても殺人罪で捕まる事はないという絶対の自信をもっており、前項で述べたような詐欺的な取引を行っていく上で自分にとって不都合な人間、乃至楯突いてくる人間を次々に惨殺、遺体は自身の経営するペットショップや、その従業員の自宅等に持ち帰り入念に解体した上で焼却。更には遺灰を金槌で砂状になるまで叩いて粉砕。それを山中の川に流して捨てていた。
見つかるはずも無いわけだ。
数多の未解決事件
この一連の事件では、4人の人物が関根によって殺害されたという事になっているが、
関根は逮捕後「他にも何人も殺した」旨の供述を行った。
だが時すでに遅し、
残る死体は全て跡形もなく“透明”にされてしまっており、立件が不可能であった。
事実、殺害が認められた4人以外にも、関根の周りでは多くの人々が謎の失踪を遂げている。
考えただけでも無念だ。
惨劇の舞台となった犬舎「アフリカケンネル」の現在は。
そんな猟奇的な事件の舞台となったペットショップ、「アフリカケンネル」は今一体どうなっているのか、、、
結論からいうと、
廃墟として現存している
連続殺人事件などとは一見して縁もゆかりも無さそうな、至って凡庸な耕作地の一角に、これまたかつて惨劇の舞台となった事実など微塵も感じさせない、さも物置小屋然とした佇まいで、そこに存在していた。
現在は別会社の駐車場として使われているようだが、見ての通り、ここがアフリカケンネルであった事を示す残留物が随所に散見できる。
人望に厚く、経営者としてもブリーダーとしても敏腕。
多くの人々が、なんの疑いもなく、
関根を信頼し、
透明にされた。。。
事件発覚直後に阪神淡路大震災が発生し、この件に関しては殆ど報道されることなく世間の記憶からも消し去られてしまったらしい。
本来であればこれ、
平成を代表する凶悪事件の一つだと思う。
たとえ威厳のある者であったとしても、容易く人を信じてはいけない、、、のかな。
以上。